1番 「だれかでストレスかいしょー」 柏木はめつ (広島県・30歳)
<あらすじ>お間抜けすぎるストレス解消法を選んでしまったために、逆にストレスが溜まってしまう様子を描いた4コママンガ。
寸 評
線をもっと気持ちをこめて描いて欲しい。絵柄も枠線にもやや乱雑さが目立ってしまい、読みづらく感じてしまう。これでは「特徴」や「個性」とは呼べないだろう。じっくり読めば笑えるポイントもありテンポは良いので、読者を置き去りにしないわかりやすさがほしいところ。
2番 「エガクヒト」 高島正嗣 (東京都・27歳)
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3番 「ブスにかわいいと言うと一生つきまとわれる」 N.S (東京都・30歳)
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4番 「イケル墓場」 Susume (兵庫県・26歳)
<あらすじ>
研究者が自ら被験者となり完成させた、患者を睡眠させることによって生命を維持させる施設「イケル墓場」。研究者の恋人で、施設のオーナーでもある主人公は、その施設を閉鎖することを決める。
寸 評 「生命維持装置」というSFものの王道とも言えるテーマを取り上げているせいもあってか、やや新鮮さに欠け、「どこかで読んだことがある」作品になってしまっていた。せめてラストだけでもSusumeさんにしか描けないものを徹底的に探求してほしかった。キャラは髪型の違いで見分けがつけられるものの、顔が似たものになってしまっている。表情の変化をもっと意識するとよくなっていくのではないだろうか。
5番 「熱海湯煙殺人事件」 小柳博明 (東京都・30歳)
<あらすじ>妻と娘に相手にされない父親が、熱海への家族旅行を計画。そこで家族は、死体を捜すという小学生たちに遭遇する。
寸 評
2時間サスペンスドラマのようなタイトルなのに、マンガそのものはすごい脱力感で貫かれている。無表情に見えるキャラクター達の行動が妙に軽快で、ついつい笑ってしまった。しかし、まだまだ全体的に力不足。絵はより丁寧に描ける力があるはず。せりふやカットもやや多い印象を受ける。一度読みなおして要らない部分を削る作業をするとよくなると思う。
6番 「AKAGO」 こやのそういちろう (神奈川県・26歳)
<あらすじ>たった一人でクローン人間を完成させてしまった天才研究者の前に、生命の摂理を破壊した罪を問う“神様”が現れる。
寸 評
今回のちば賞では、クローンや人工知識を備えたロボットを題材とした作品が大変多かった。しかしその中でも、作中で研究者の自問が繰り返される場面は見ごたえがあった。残念なのは、一つ一つの描写やラストのクローンへの解釈部分が、どこかからの借り物の域を超えてないという点。特に神様の表現にはもうひとつひねりが欲しかった。
7番 「予感」 電気石リチア (岡山県・43歳)
<あらすじ>不倫相手との逢引きの帰りに寄った喫茶店で、主人公は三角関係でもめる男女を目撃し、わが身を案じる。
寸 評
キャラは特徴的で丹念に描きこまれている。だが、それに比べて背景やその他の小物が乱雑に描かれているために、せっかくの個性が損なわれている。物語自体も特に劇的に事件が起きるわけでも、独自のキャラ心理が見られることもない。ラストの、不倫に対して揺るがない女性の姿勢を描くためにも、三角関係の三人の修羅場は、もっと激しく印象に残る表現を見せて欲しかった。
8番 「大怪獣が来る日」 くれたかし (京都府・25歳)
<あらすじ>過去にある秘密を抱える少女と、彼女に思いを告げられないでいる少年。彼らの目の前に突然巨大な怪獣が現れる。
寸 評
微妙な女性の心理の変化を、怪獣の出現と絡ませて描こうとしている姿勢は面白い。ただ怪獣の迫力に対して少女の印象が薄いため、逆に怪獣そのものが物語から浮いてしまっている印象を受けた。その後の強烈な少年の告白シーンを邪魔しないためにも、怪獣が出てくる必然性をしっかり描いてほしかった。型にはまらない思い切りのよさがあるので、もう少し細かい表情の変化に気を配れればどんどんよくなると思う。
10番 「飛ぶ老人」 I・I(埼玉・40歳)
<あらすじ>小さな本屋に置かれた古びた本。その中には空を飛ぶ老人が棲んでいた。ある日、一人の少年がその本を手にとって……。
寸 評
ごくごく短いページながら、空を飛ぶ老人と、創造力豊かな少年との心の交流がきっちりと描かれていて、爽やかかつほのぼのとした読後感があった。コマ割りや構図もシンプルながら大胆で良かった。ただ(意図的かもしれないが)絵柄がやや古く、とっつきにくかった点が惜しかった。
9番 「よってけ」 高橋武志 (東京都・26歳)
<あらすじ>様々なシチュエーションで展開されるナンセンス4コママンガ
寸 評
発想はぶっ飛んでいて目を引く。しかし、ただ自分がおもしろかったものを描いてみたというだけの印象。4コマという限られた枠の中でいかに相手を笑わせられるか、はっとさせられるかという所に、もっと意識を持っていって欲しい。
10番 「ニアレトロ物語 しずく」 小田令子 (埼玉県・49歳)
<あらすじ>昭和30年代を背景に、マンガ好きの少女と、迷子の子犬との触れ合いを描く。
寸 評
作者の少女時代への想いが、建物や町並みににじみ出て、作品全体に懐かしい雰囲気となって表現されていた。登場人物はいずれも生き生きとしていて親しみが持てるのだが、どうも紋切り型のキャラになってしまっているのが残念。自分にしか描けないキャラクターをさらに追求していってほしい。
11番 「三つ目人ドクター」 奥井識仁 (神奈川県・40歳)
<あらすじ>太古の時代、長耳族に勢力を奪われた三つ目族の生まれ変わりの女医が、現代社会でもなお権力を振りかざしている長耳族の子孫に、積年の恨みを晴らす。
寸 評
正確な医学の知識に裏打ちされた医療ネタは、読み応えあり。しかしペンが入れられていない、鉛筆書きのネームのままだったのは残念。また、「本編を2倍楽しむ解説」という文章が添えられていたものの、漫画のストーリーだけを言えば2つの種族の対立構造など見せ場になる部分が実に曖昧。情報を載せつつも、飽くまで漫画そのもので勝負して欲しかった。
12番 「選ばなかった僕の人生」 マサノ正大 (埼玉県・39歳)
<あらすじ>あるニートの少年が、夢の中で一人の少女と出会う。彼女はまったく別の時間軸を生きる、もう一人の自分と付き合っていたという。
寸 評
些細な選択の違いが、将来の大きな変化に繋がるということを、全く異なる人生を歩んだ2人の自分を交互に描くことで表現した意欲作。絵も丁寧で描きなれた雰囲気を持っている。しかしほとんどが独白か、会話だけのシーンになってしまっており、この形式ばかりでの72ページはちょっと疲れてしまう。より相応しい表現方法を探究しながら描きすすめるようにしてほしい。
13番 「If女系天皇」 齋藤龍彦 (静岡県・37歳)
<あらすじ>皇室典範改定について議論する首相と前首相の前に現れた、未来から来た首相。彼は2人に、「未来では天皇家が滅んだ」と告げる。
寸 評
皇室典範の改定によって、皇室の未来がどのように変化するのかを描いた社会派漫画。情報を盛り込む試みは面白いが、物語性が影を潜め、そればかりに終始してしまっていた。未来の人間が現れて、「将来はこうなる」と告げることで自分たちの過ちを知る、ということではやや短絡的。主人公たちに自分自身の過ちの原因を探させることで、物語にもっと展開がでるのではないだろうか。
14番 「無題」 上野美記 (東京都・29歳)
<あらすじ>
心配性の「うつ子」が、危険を意識しすぎて逆に失敗してしまう様子を描いた4コマ漫画。
寸 評
タイトルと異なり、主人公・うつ子は決してうつではない。むしろ心配事を払拭しようとするときの行動力はまるで“そう”状態だ。その矛盾がどうしても引っかかってしまった。各コマにセリフや解説が多くなるのは、コマの進行に併せた状況変化を絵で表せていないため。今後は試行錯誤して、絵で見せられるようになってほしい。
15番 「店長Kとふたりのチーちゃん」 黒内セイゴ (三重県・32歳)
<あらすじ>
美容院で働き始めたネイリストの主人公が、周りの人との触れ合いの中で成長していく。
寸 評
意識的に描いたのか無意識的に描かれたものかわからないが、セリフ回しや人物設定から、テレビドラマ的な印象を強く受けた作品。まだ初めての作品だということもあってか、コマ割りやコマ運びのテンポが悪く、ちょっと読みづらい。主人公が店長に寄せる恋心など、登場人物の心情がどういった形で行動に表れるのか、その場に描かれていないキャラも含めて深く考察してみてほしい。
16番 「シーデープレイヤー」 斉藤浩一 (東京都・34歳)
<あらすじ>
地球征服のために現れた宇宙人が地球人の女性に一目ぼれしてしまい、彼女を守るために仲間と戦う。
寸 評
戦闘シーンを描きたかったのだという熱い思いが伝わってくる。ただ、一目ぼれで仲間を裏切って殺しあうという展開だと、少し強引過ぎるのではないだろうか。闘わなくてはならなくなる、登場人物たちの気持ちの変化や状況を、もっと丁寧に表現して欲しいところだ。
17番 「ダイヤモンドは永遠か」 曽賀晋一 (広島県・38歳)
<あらすじ>
「マルチ商法」に誘われた大学生に、同級生がその商法の悪質さを教授する。
寸 評
物語そのものより、情報を詰め込んだという印象。そのためストーリーに深みを出せていないのが残念なところ。「ベルギーダイヤモンド事件」と「マルチ商法」についての知識を盛り込む取り組みは面白いので、マルチ商法に関する事件に謎解きの要素をいれるなどするとさらに楽しく読むことが出来るのではないだろうか。
18番 「乳牛物語」 水木麻紀子 (東京都・24歳)
→(2次選考・最終選考へ)
19番 「それでもガンWALK バレON!!」 勇利壇 (北海道・48歳)/協力:グレゴリー3世
<あらすじ>
空手の技術向上に励む漫画家志望の男性を描いた自伝的作品。
寸 評
前回のちば賞応募作「WALK ON!!」の続編。特別強い個性の見られる作品ではないが、実に丁寧に、線も綺麗に描かれていてレベルは全体的に高い。しかし自伝ということもあってか、設定がやや強引で読者を置き去りにしてしまう傾向が見られた。親父狩りを撃退するシーンなどでも、ほかに手段がない状況に主人公をもっと追い込んでほしかった。現実的な場面は、より不自然にならないように心がけてほしい。
21番 「フラワー」 千寿洋次 (富山県・42歳)
<あらすじ>
マジシャンになることが夢のエンジは、10年に一度だけ咲き、どんな願いも叶えてくれるという伝説の花を探しに、ヒュプノス山へと向かう。
寸 評
作者が狙っている世界観や物語には興味をひかれた。ただ、そのテーマが先行していて、漫画が追いついていない気がした。まず、登場人物のセリフやナレーションによる説明が多すぎる。これだと絵で魅せられるという、せっかくの漫画独特の面白さ・爽快さが損なわれてしまう。「これを見せたい」という決め絵がもっとあると、良かったと思う。
22番 「ウサギの目」 加納宝 (神奈川県・39歳)
<あらすじ>
画家を目指す熊田は、高校の美術部の同級生から「ヒューマンノイズ」と呼ばれる、新種のウサギを一週間だけ預かることに……。
寸 評
ウサギは熊田の何に惹かれたのか、反対に、熊田はウサギにどんな感情を抱くようになったのか。絵と物語が淡々としすぎていて、そういうことが読み取れなかったのが残念だった。熊田とウサギのやり取りを、もっと見たかった。それと、コマ割りや構図を工夫して、各ページごとの違いをつけるようにすると、印象深くなったと思う。
23番 「ボタン」 橋本日進 (東京都・26歳)
→(2次選考へ)
24番 「(無題)」 河内弘和 (長野県・?歳)
<あらすじ>
マンションの上下の部屋の住民のやりとり、独り悶々と寝る男、ホップ抜きのビールを飲む男……。ちょっとずれたキャラクターの四コマ漫画。
寸 評
魅力的なキャラクターは、ちょっとずれていても、どこか共感できる部分があるものだと思う。今回の四コマシリーズの中には、なかなか共感できるキャラクターがいなかった。それが惜しかったと思う。例えば、「将来なりたいもの」を母親に語る息子。このキャラクターがもっとかわいく描かれていれば、そのかわいさと行動のギャップに笑えたかもしれない。
25番 「分校ものがたり」 にしのまれすけ (広島県・37歳)
<あらすじ>
都会から田舎の分校に赴任してきた教師、富樫りんご、24歳。一見、ごく普通のかわいらしい彼女が、分校にドタバタを巻き起こす……。
寸 評
さくさくっと読めてしまうのだが、印象に強く残る物がなかったのが残念。ネタや絵の中に、ちょっとした「毒」のようなものがなく、さっぱりとまとまりすぎていたためだと思う。ゆるいギャグを狙うのなら、もっと「ゆる〜〜〜い」と思わせる絵にする。または、時事ネタを狙うのなら、もっと風刺をまぜる。そういう工夫が必要だろう。
26番 「或る市民」 橋本一雄 (福岡県・32歳)
<あらすじ>
機嫌がいいときは、ごく普通の男性。お年寄りの荷物を持ってあげたり、道路に飛び出した子どもを助けたり。でも、機嫌が悪いときは……。
寸 評
ごく善良なる市民が、ささいなことをきっかけに、恐ろしい変貌を遂げていく。確かに興味をひくテーマではあるが、すでに色々な分野で語られてもいる。だからこそ、自分なりの工夫が絶対的に必要となるはず。単純に、「機嫌のいいとき」と「機嫌の悪いとき」を淡々と語るだけでは、読者の心を動かすことは難しい。例えば「機嫌の悪いとき」から「機嫌のいいとき」に進んだらどうなるか、例えば「機嫌のいいとき」に凶暴で、「機嫌の悪いとき」に優しくなったらどうなるか、例えば……。そういう試行錯誤をどんどんすると、もっと良くなったのではないだろうか。
27番 「虫の話」 香川寛 (大阪県・56歳)
<あらすじ>
気がつくと、自分は細いヒモのようなものに、ぶら下がっている。どうやら周りにも、自分と同じ仲間がたくさんいるようだが……。
寸 評
何となく、言わんとすることは伝わってくる気がした。ただ、「何となく」だけでは、漫画としては面白味が足りない。今回は淡々としたキャラクター・タッチ・ストーリーで描かれていたが、同じテーマをハラハラドキドキの冒険モノで描くことも可能だろう。一工夫足すことで、より多くの読者に「しっかり」と伝わる作品になるのではないだろうか。自分の中で「あえてこれで描く」というような芯があると、もっと印象深い作品になったと思う。
28番 「格闘王伝説」 亜玉和塁三 (宮城県・29歳)
<あらすじ>
「格闘チャンピヨン」の矢多良殴流(やたらなぐる)は、新聞の勧誘を断ったがゆえに不幸な目(?)に遭わされた父の敵をとるべく、西日グループ本社ビルへと向かう……。
寸 評
やたらと人を殴る主人公、人間離れした攻撃をしかけてくる敵、などなど、次々と一風変わったキャラクターが登場する。でも、どこか見たことがあるようで、新鮮さがあまり感じられなかったのが残念。ギャグがどうのこうのよりも、まだ誰も見たことのないような超人や、必殺技といった「一発」がほしかった。
29番 「竜の瞳」 湖涼 (大阪県・25歳)
<あらすじ>
「フルクートの民は竜と共に在り」と伝わるフルクート王国。その王国の騎士・レフトは、国の存亡をかけた任務を与えられ、旅へと出るが……。
寸 評
ちょっと期待感をあおる出だしや、思い切りのいいコマ割りのためか、長いページのわりにさくさくと読み進められた。ただ、主人公のレフトと、魔女の血を引く森の中の少女の関係など、いまいちわかりにくい部分が多かったのが残念。レフトが仕える将軍の存在や、竜の伝説などのバックグラウンドの説明も、もっと丁寧に描いてくれれば、より物語の魅力が増したのではないだろうか。
30番 「わるいやつら」 佐藤和仁 (千葉県・36歳)
<あらすじ>
主人公の谷沢は、とある高校野球部のピッチャー。これまでの試合ではずっと控えだったが、エース・花村の不意の怪我により、甲子園予選での登板が決定し……。
寸 評
爽やかなはずの高校球児が、実は腹黒い。そのギャップは確かに面白いと思う。でも、登場人物が持つギャップのふれ幅は、まだ物足りない。読みやすい構成だっただけに、作品全体が大人しくなってしまったのが惜しい。谷沢にしても、花村にしても、本当に読者が「ドキリ」とする瞬間があってほしかった。「わるいやつら」だとわかる前のフリを工夫すると、もっとギャップが大きくなったのではないだろうか。
31番 「今日もホンネで」 よしもと かず美 (兵庫県・52歳)
<あらすじ>
独身の同僚をうらやむ結婚済みOL、礼儀知らずの部下を「年金制度の犠牲者」として哀れむ上司……。日常生活のちょっとしたワンシーンをギャグ仕立てにした、四コマ漫画。
寸 評
これといった主人公はいないものの、世界観やキャラクターの雰囲気が一貫していて読みやすかった。ただ、ほのぼのとしすぎていて、印象が弱くなってしまったのが残念。セリフがやや多く、説明口調になりがちな点には、工夫の余地があるだろう。強くてズバッとしたセリフを、一箇所でも多く入れるべく、目指してもらいたい。大分印象が違ってくると思う。
32番 「竜馬」 内藤遼志 (岡山県・52歳)
<あらすじ>
真剣高校の一年生、早坂竜童は、新宿の高層ビル上空にUFOを目撃する。さらにその後、不思議な竜を見かけ……。
寸 評
現代の高校生と、歴史上の人物である坂本竜馬をリンクさせて物語が進む構成は、興味を引かれた。ただ、物語が急に入れ替わることが多く、話の焦点がどこにあるのか、_むことがなかなかできなかった。また、おそらく主人公である早坂の印象がやや薄いのも残念。すでに知っている坂本竜馬の物語よりも、未知の早坂の物語をもっと読みたいと思った。
33番 「(無題)」 伊駒留美 (東京都・?歳)
<あらすじ>
美大生の美月美羽は、大学の成績は下の下。でも、憧れの先輩から結婚を申し込まれ、幸せの絶頂のはずだったが……。
寸 評
主人公の美月と、イヤガラセをしてくる同級生の伊東のやりとりは、小気味良くて爽快だった。ただ、ドタバタのシーンだけではなく、その二人の生活背景なども丁寧に描かれてあれば、もっと感情移入して楽しめたのではないかと思う。「憧れの先輩」のかっこよさが、いまいちわからなかったのも残念。それらの点を、セリフに頼ることなく描くことができれば、さらに面白い作品に仕上げられたはず。
34番 「李仙」 細井恭子 (東京都・25歳)
<あらすじ>
楊琳友は23歳にも拘わらず、原因不明で不能になってしまう。医者の勧めにより、薬作りの天才である李仙という仙女に会いにいくが……。
寸 評
絵がすごく巧いというわけでもないし、ページもやや長めだが、割とすらすら読めた。主人公の楊琳友のキャラクターが自然に描かれていて、感情移入しやすかったためだろう。しかし、主人公の祖父である楊元達や、仙女の李仙といった主要キャラが、最後まで読んでもどんな人物なのかよくわからなかった。登場人物それぞれの個性をもっと描いてくれれば、より物語を楽しめたのではないだろうか。
35番 「Only One」 長谷川利之 (宮城県・33歳)
<あらすじ>
総合格闘競技のヘビー級王者のアベンジャ・スミスは、かつて空手家の南大斗に大敗した雪辱を果たすべく、空手世界大会に参戦。しかし、大斗はすでに引退。代わりに、弟の長斗が出場していた……。
寸 評
試合の攻撃シーンや、長斗のストレッチのシーンなど、絵に動きや迫力が感じられた。テンポもスピーディーで、テーマに合っていたと思う。ただ、登場人物に感情移入をして読むことができなかったのが残念。アベンジャにしても、大斗にしても、長斗にしても、キャラクターがやや一面的になってしまっている気がした。特に、長斗は主人公。ただの「戦い好き」だけではない何かがあると、ラストにより爽快感が加わったと思う。
36番 「お江戸の梵。」 喜多川勇 (福岡県・36歳)
<あらすじ>
七代目歌川広重は、四代目歌川国芳、四代目歌川豊国らと美人画対決をすることになった。早速、絵のモデルとなる美人を江戸の街に探しに出るが……。
寸 評
一見して、読むのに歴史的知識が必要そうだが、「美人画」に興味がない人にも読めるように描かれていて、好感が持てた。ただ、セリフや描き文字の量が多く、読みづらくなってしまったのが残念。主人公の顔はクセがあっても割と表情豊かで感情移入しやすかったが、次々と登場してくる美人の顔は平板に見え、表情が読み取りにくかった。舞台や時代設定も、もう少し丁寧に説明してあると、より世界観に親しみやすくなったはず。
37番 「NOTHING」 亀井宏一 (大分県・35歳)
<あらすじ>
「ランダマー」というモンスター化した人間が増殖し、すっかり荒廃した世界。そこで、文明復興のため秘密裏に結成されたのが、エリート集団「NOTHING」だった。
寸 評
213ページという大作を、最後まで描き切った点は、すごいと思う。ただ、モンスター化した人間「ランダマー」の造形や動き、エリート集団「NOTHING」のメンバーたちに、オリジナリティをあまり感じられなかったのが残念だった。大統領として選ばれた主人公のアランの変化も、なぜ起きたのかいまいちわからなかった。もう少し、登場人物のバックグラウンドを丁寧に描いてあげた方が良かったと思う。
38番 「ビギナー」 徳味卓示 (兵庫県・33歳)
<あらすじ>
金子沙耶は、長船市役所に勤める新人の徴税吏員。個性的な先輩たちと徴税に出かけるも、失敗ばかりで自信を失くしてしまう……。
寸 評
「徴税」という題材は素直に面白いと感じた。ただ、主人公を含めて、登場する徴税吏員の先輩や、納税滞納者たちのキャラクターが、やや薄く思えてしまった。各キャラクターの長所や欠点があまり見えてこないため、感情移入がしづらく、成長ストーリーにもリアリティを感じられなかった。それぞれの登場人物にもっと個性を持たせ、それが魅力として際立つようなエピソードを練りこむことが必要だろう。
39番 「さすらいのOL」 ギョタロー (大阪府・60歳)
<あらすじ>
天下茶屋キャリアサービスの本田茜は、クライアントからのどんな要望をも完璧にこなす、無敵の派遣社員。今日の仕事は、つぶれかかった自動車会社の再建!?
寸 評
個性的な登場人物が次々とテンポよく出てきて、読みやすかった。ただし、どのキャラクターもデフォルメされすぎていて、物語が必要以上に芝居がかって見えたのが残念。中には、読者の目線に立ったような、親しみやすい人物がいても良かったのではないだろうか。もっと読者が感情移入できるような工夫をしてほしい。でないと、なかなかギャクで笑わせることはできないと思う。
40番 「トーチソング」 福田和人 (福岡県・30歳)
<あらすじ>
小学校ダメ教師の赤井丈一郎は、同僚の島谷先生に片思い中。しかし、ある日突然、島谷先生が学校を辞めると言い出して……。
寸 評
絵や登場人物には親しみやすかったが、全編を通してやや読みづらく感じた。原因は、まずセリフの多さにあるだろう。主人公や、その生徒の少年が、いつも状況を喋って説明してしまっている。しかし、これだとシーンにメリハリがつかず、どのセリフが重要なのかも読者に伝わりづらい。説明不足もいけないが、抑えるところは思いきって抑え、ここぞというところで喋らせる、というような工夫が必要だろう。
41番 「TWIN 」 松浦淳子 (大阪・20歳)
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42番 「こんな俺だけど」 吉田博信 (大阪・26歳)
<あらすじ>
好きになった女の子には彼氏がいた、スポーツ万能で頭も良い。どこをとっても敵わない、だけど……。
寸 評
ストーリー、台詞共にありきたり。この話を誰に読ませたいのかをしっかり考えた方がよい。自分がこの話を読んで感動しますか?共感しますか?それとこの作品の中でイチバン大切な台詞をポッと出のお姉さんが言っているのもどうかと思う。ちゃんと物語の中に組み込むべき。しっかり物語を構成することに挑戦して欲しい。
43番 「Welcome To Bell Inn」トーマス・多運前戸(タウンゼント)(大阪府・38歳)
<あらすじ>
夫婦で滞在したイギリス旅日記、1話から4話
寸 評
旅ルポ漫画としては非常に面白く評価が高かった。しかし、この内容をこのような形の漫画である必要があったのかどうかで評価が割れた。イギリス人の説明やビール、食事、PUBの話は是非とも物語の中に入れ作って欲しかった。この世界観で主人公もしっかりたて、ドラマチックに物語を展開すれば、かなりの高評価であったことは間違いないだろう。
44番 「パイオニア スカイズ」 斎藤光宏 (茨城県・?歳)
<あらすじ>
ロボットを作ることに情熱を燃やす主人公。周りで振り回されている人達は、彼のことを妄想バカと呼び……。
寸 評
ラストまで一気に読めた。読みやすいというのは大事なのだが、主人公が何を目指しているのかをもっと前面にアピールすべきだったと思う。絵柄的にはもっと構図やキャラクターの立ち方、コマ割りなど、バリエーションが欲しかった。主人公のキャラクターも、もっと徹底的にハチャメチャなキャラクターにすべきだったのではないか。次回作はしっかり読者を楽しませることを考えて描いて欲しい。
45番 「ロマネスク」 酒田弘徳 (静岡県・43歳)
<あらすじ>
1pのギャグもの
寸 評
画力、オチ、構成力共に厳しい。1pでオチをつけることが出来ていない。「面白い!」とうなるものが一つでもなければ評価のしようがない。残念ながら今回の投稿作にはそれがなかった。
46番 「Dreamer」 麻愉 (大阪府・32歳)
<あらすじ>
夢を追う貧乏ピン芸人が公園で「夢の種」を買う。そこから始まるサクセスストーリー。
寸 評
コントを漫画で表現するのは、非常に難しいことであるが、上手く創ってあると思う。ただし、物語の中で一番初めに観客から「面白くない」と言われたネタで、売れ始めるのはどうかと思う。それではただ単に魔法の力で売れたとしか思えない。これでは最後の父のためにグランプリを諦めると言う大事な場面で、主人公に感情移入が出来ない。しっかりとひとつひとつの主人公の行動が、読者が何を感じるかを考えて次回作に挑んで欲しい。
47番 「パンダ〜ワン」 上杉太郎 (神奈川県・35歳)
<あらすじ>
パンダとペンギンの戦い?
寸 評
漫画の形になっていれば、読めたのではないか……と思う。漫画の魅力の一つにコマ割りというものがある。それをこの作品は投げ捨ててしまっている。この部分をもう一度見直してみてはどうだろうか。
48番 「るい」 受川智美 (京都府・21歳)
<あらすじ>
このキャバクラには、霊がいる。取り憑かれたホステスは売れっ子になるが、その後は……。
寸 評
るい子(名前を変えた後の)が売れっ子になったのは、亡霊のせいだというアイディアは良いが、まだこの部分しか評価することが出来ない。もっと二人の女の嫉妬、何故売れたかったか、売れた後の開放感であるとか虚しさなどをえぐって欲しかった。そのためには、主人公をしっかり、どちらかに固定するべきである。イマイチどちらの女性のことを描きたかったのかが分からなかった。絵柄に関しては、もう少ししっかり手を抜かずに描いた方が好感が持てたはず。最後に、厳しめな講評になてしまったが面白くなる要素がある内容だと思うし、作者が意図しているコンセプトは磨けば光るものがあると感じている。
49番 「Dogs」 高橋裕之 (東京都・30歳)
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50番 「ONE」 IIZUKA KEITA (東京都・21歳)
→(2次選考へ)
51番 「MEMORY BAND」 平野英治 (福岡県・43歳)
<あらすじ>
事故で小学生と心が入れ替わってしまった主人公。小学校で実の息子と同じクラスになるが……。
寸 評
設定はいわゆるよくある話。そこから大人の視点で子供達に説教するのは良いのだが、その内容が物語の本筋とかけ離れすぎている。少子化問題や、ジェンダーフリーがどうして実の息子と同じクラスになったことと関係があるのか。感想としては何が言いたかったのか、そして最後のオチのワケは、など非常に分かりづらいとしか言えない。話が飛びすぎているのでしっかりまとめてから物語を創るべきだと感じた。
52番 「キラードール」 中原アビスケ (神奈川県・32歳)
<あらすじ>
引っ越してきた弱々しい少年と、喧嘩自慢のヤクザ。二人は急速に近づくが、実は少年は殺し屋だった…。
寸 評
画力は申し分ないが、話の組み立てが良くない。空手のシーンでは主人公は弱いが、殺意を感じると本能で相手を殺してしまうほど強くなると説明されている。だが、このシーンに対しての前フリがなかったことで、この物語が行き当たりばったりな感じがしてしまうところが非常に残念。読者がどこで「へ〜」と思うかをしっかり考えて次回作に挑んで欲しい。
53番 「エレベーション」 真菰ゆりお (大阪府・28歳)
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55番 「鬼憑の剣」 鈴木智 (京都府・22歳)
→(2次選考・最終選考へ)
56番 「樹」 河田友里 (神奈川県・23歳)
<あらすじ>
一人の園児が迷子になりその子を家に送る最中、主人公は昔の思い出を話し始めた。
寸 評
ストーリーは幻想的で雰囲気があり、良かった。時折「おっ」と思うコマ、イラストもあったが、まだ絵のレベルが安定していないため、評価に繋がらない。まず、1コマ1コマ手を抜かないで描くことを心がけよう。読者はたった1コマでも手を抜くと、全体の印象が悪くなってしまうこともある。ベタはしっかり塗る。トーンを多用するのはいいが、仕上がりをしっかり頭の中でイメージして貼ること。まずしっかり下描きしてから原稿に挑んで欲しい。
57番 「銃と欲望の果てに」 奥野のぶかつ (京都府・31歳)
<あらすじ>
本物よりも恐ろしい銃、一度でも引き金を引くと、人生が取り返しがつかなくなるという。一体その銃の正体は……。
寸 評
銃の力によって、他人になり変わることが出来る。そこで人間は自分の欲望に対して忠実で愚かな存在だと描いてあるが、それは新しいことだろうか。ずっと昔から言われ続けていることを主題にしても、いわゆるありきたりな物語にしかならない。絵のレベル、演出は良いので、もっとストーリーをひねってみてはどうだろうか。
58番 「今輝いてシャイニング」 邉見友和 (千葉県・32歳)
→(2次選考・最終選考へ)
59番 「Lest in piece」 菅野契 (千葉・20歳)
<あらすじ>
クローン人間を殺しても罪にはならない近未来。この世界には殺ししか興味のない化け物がいる。
寸 評
味のある作品ではあった。ただこの作品を読んで気分を害す人がいることも確かだと認識して欲しい。人の生死を描く場合、何を主題に描くのかをしっかりさせてから描くべきである。この作品の場合、人の命が軽くなっている、ということを描きたいことは分かったが、読者に何を伝えたかったのかが分かりづらかった。プロでになりたいのなら、読者を意識して作品を創って欲しい。
60番 「HOPE」 斗米寅子(東京都・27歳)
→(2次選考へ)
61番 「おばけ日和」 今野康隆 (宮城県・23歳)
<あらすじ>
おばけを見ることができる少年は、おばけとの友情を育んでいく。火が弱点のおばけが火事に巻き込まれたと勘違いした主人公は、おばけを救うために火事に飛び込み死んでしまう。
寸 評
非常に読みやすかった。ただ絵が、まだ稚拙すぎる。おばけのマンガならば、おばけの造詣が魅力的であって初めて読者は読む気がすると思う。また、ストーリー展開が、あまりにも都合が良すぎて、伝えたいことはわかるのが、心に響いてこない。
62番 「父」 野田正規 (愛知県・34歳)
<あらすじ>
父としてよりも、教師としての立場を重視するあまり、息子との関係を台無しにしてしまった主人公。定年を迎えるにあたり、息子と和解する。
寸 評
絵のレベルは高い。しかし、個性に欠けていて、人物の顔が魅力的でない点が残念。作品のメッセージが説教くさいのだが、読者がマンガで読みたいのは、エンターテイメントである。正しいことを描いても、読者が楽しめる訳ではない。
63番 「無題 +4コマ」 ぞうのりあいこ (東京都・34歳)
<あらすじ>
母子家庭で、母親が働いている間、さびしく待っている男の子に、神様がやってくる。幸せになる秘訣は、おいしいものをつくってあげること。でも、料理のうまい新しいお父さんが現れて、男の子は幸せになる。
寸 評
ストーリーの中でどこを見せ所とするつもりかを、作者は把握しないといけない。だらだらとストーリーが進行している感がある。 見せ所となりえたであろう、新しいお父さんと会う場面などを1ページ半で描いてしまうのはもったいなかった。
64番 「頭ネジ」 作・荒木康二朗 画 木村利幸 (東京都・32歳)
<あらすじ>
死んでしまった子供の代わりに作られたロボットが、ちょっとずつ壊れていってしまい、両親は、ロボットを破棄することにしてしまう。
寸 評
両親を始めとして、登場人物の行動が、ストーリー展開をスムーズにするためだけにあり、感情がリアルでない。また子供が実はロボットであったというテーマは使い古されているため、もしもそのようなテーマを選ぶときは、今までにない新しい工夫を何か一点入れるようにしたほうがよかった。
65番 「そりゃないよ丸山さん」 福田りえ (栃木県・28歳)
→(2次選考へ)
66番 「ダビデくん」 NORIKO (埼玉県・36歳) 監修Phil Oka (埼玉県・37歳)
<あらすじ>
イスラエルのサウル王とダビデの物語。
寸 評
この作品で、コメディを作りたかったのか、ストーリーを見せたかったのか、作者の真意が伝わってこなかった。また、ストーリーの状況がどういうものなのかが、非常に把握しにくかった。現代日本人になじみの少ないジャンルを扱うときは、読者に舞台設定がわかるような工夫が必要だろう。
67番 「鋼の月」 イシバシタクヤ (東京都・30歳)
→(2次選考へ)
68番 「浅草ケンカ堂へようこそ!」 二代目亜寳よりましか(東京都・29歳)
→(2次選考・最終選考へ)
69番 「首縄を綯うグレートヒェン」 佐藤典明 (千葉県・42歳)
<あらすじ>
大学で秘書をしている主人公の女性は、ドイツ民話で伝説の娘だった。好いた男を腸詰めソーセージにして食べてしまうというその女性は、大学の教授と学長を殺害してしまった。
寸 評
絵には、味があって、魅力的だった。民話と現代の話を絡めるという発想は、面白いと思うのだが、ストーリーが直接的で、発想の面白さを十分生かせていなかったと思う。
70番 「こころざし」 村瀬修 (北海道・54歳)
<あらすじ>
廃藩となり、江戸に出てきている二人の浪人。片方は、傘貼りをして生計をたて、もう一方は幕府への謀反を企てる。
寸 評
ストーリーは、非常に読みやすく、内容は伝わってきやすかった。けれども、自分の絵とどのようなストーリーが合うのかを考えることも大切である。ほんわかとした絵であるのだから、その絵に合っているストーリーを考えたほうが良かったのではないかと思う。
71番 「The Journey of Life」 羽上俊 (熊本県・23歳)
<あらすじ>
コンビニ強盗をして、人を殺してしまった少年。ヒッチハイクをして出会った老人と話をしていくうちに改心をして、自首をする。
寸 評
そんなに簡単に人は、心を改心するのか?という疑問は残るものの、最後まで面白く読むことができた。画力が向上すれば、今回の作品ももっと魅力的だっただろう。次回は、1次・2次通過を目指して頑張って欲しい。
72番 「Too LATE To DIE」 小村良郎 (埼玉県・33歳)
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73番 「Mr.ラブリーマン!」 有地正則 (山梨県・39歳)
<あらすじ>
天星財閥で働く一組のカップル。専務の天星に彼女を気に入られてしまった男は、天星の策略にはめられる。天星のもとに連れ去られた彼女を取り戻すべく男は、奮闘する。
寸 評
絵から、作者の勢いと熱気は伝わってくる。少年誌であれば、そのような勢いで読者の心をつかむことも可能かもしれないが、青年誌の場合は、ストーリーマンガならもっとリアリティがないと読者が作品世界にはまることができないように思う。
74番 「くちびる」 岳里 (大阪府・27歳)
→(2次選考へ)
75番 「劇団☆卒業式」 江畑ゆきのり (千葉県・?歳)
<あらすじ>
一風変わったバイトに応募した主人公。主人公の仕事は、様々な事情で卒業式に出られなかった人に卒業式を経験させてあげること。卒業式を演じながら、そこに集まった見ず知らずの人たちは、心を交流させていく。
寸 評
テーマも珍しいし、絵のレベルも高い。受賞してもおかしくないレベルの作品である。けれども、編集部がこの作品を2次選考に上げなかったのには、理由がある。一度新人賞をとった人は、前回とは違う魅力がないと部内選考で評価されない。江畑さんの作品は、毎回読みやすく、面白いのだが、本誌に掲載するのには、まだ何かが足りない。その何かを苦労してでも見つけ、「今までとは違う」とモーニング編集部部員が感じる作品でなければ、今後の授賞は正直難しい。
76番 「無題」 菅井直人 (愛知県・22歳)
<あらすじ>
ショパンを一人で音楽室で弾く少年。クラスと馴染むことのない少女。すれ違いながらも、2人は徐々に相手を認め、惹かれあっていく。
寸 評
ストーリーにも絵柄にも、雰囲気があり、非常に魅力的である。この作品が、2次選考に進まなかった理由は、75番と同じで、以前の受賞作とレベル的に差がないからだ。ストーリーは、以前の受賞作よりもずっと魅力的になっている。画力をもっと磨けばよりいい賞が狙えるかもしれない。
77番 「花嫁の条件」 藤岡晃 (秋田県・46歳)
<あらすじ>
お互い初めて付き合う2組のカップル。経験が少ないために2組ともすぐに別れてしまうが、それぞれが付き合いなおすと、始めの経験をいかしてうまく付き合うこととなる。
寸 評
この作品は、ギャク漫画なのか、ストーリー漫画なのか、それが分からなかった。ギャグ漫画だとしたら、相当にシュールで面白いのだが、30pというのはギャグ漫画としては長すぎるように思う。ストーリー漫画であるのなら、ストーリーの前提となっている考え方が、多くの読者の常識とずれているように思う。
78番 「ハチミツトリップ」 山本一宏 (埼玉県・35歳)
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79番 「反射」 国枝薫平 (東京都・30歳)
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81番 「僕が描く明日」 牧野広義 (北海道・27歳)
<あらすじ>
15歳で書いたデビュー作が売れてしまった作家。しかし、その後さっぱり作品が書けない。そうこうするうちに、10年が経ってしまった!
寸 評
基本的にはギャグなのだろうが、とにかくネームが多すぎて読みづらい。ネタも「右手で書けないのなら、左利きになればいい」という、屁理屈をこねる展開だけではあまり笑えない。もう少しネタを詰め込んで、話を展開させることを考えてほしかった。
82番 「0,42195帰路」 うえはらもとむ (東京都・26歳)
→(2次選考へ)
83番 「親子水入らず」 えびチリ (東京都・33歳)
<あらすじ>
33歳にして親と同居をする作者の日常を綴ったエッセイマンガ
寸 評
『過保護』な両親のもとで送る生活は、ある意味ほのぼのとしていてそれなりに楽しそうな様子は伝わってくる。しかし、いかんせんぬるすぎ。日常をそのまま描いただけでは作品としては成立しない。もっと脚色をして読み手の心にインパクトを残すものに仕上げてほしかった。
84番 「雨」ほか1本 首藤大樹 (神奈川県・18歳)
<あらすじ>
一流モデルの美保は、つきあった男を片っ端から手ひどく振っていくような女だった。ある日、申し込まれた求婚をはねつけた美保は、男からの恨みを買ってしまい、ひき殺されそうになる。
寸 評
男に裏切られた経験のある母親の復讐のために、男たちを片っ端から振って歩く女。このような設定が、まずなじめない。どうしても、作者の頭の中だけで作った話にしか思えないのだ。だから、登場人物の誰にも感情移入することができず、物語に入っていけない。もう少し身近な題材を描いたほうがいいだろう。画力もまだまだ足りないが、年齢を考えれば伸びしろは大きいはず。うまくなるにはとにかく描くしかない。
85番 「エリディン 竜族との戦い」ほか1本 村上幸弘 (京都府・36歳)
<あらすじ>
竜族に襲われたナァーン国のローザ王女を助けたのはエリディンだった。次は、ナァーン国の兵士を率いて、竜族退治だ。
寸 評
いきなり、姫がさらわれたと思ったら、エリディンが現れ姫を助ける。時代背景、キャラクター説明などがまったくないのでさっぱり話が分からない。もう1本の応募作もそうだが、読み手に世界観を理解してもらおうというサービス精神が欠けていると言わざるを得ない。日常のドラマを描いているのではないので、これではただの荒唐無稽な話に見えてしまう。
86番 「魔術師の帰還」 森神かんすけ (兵庫県・33歳)
<あらすじ>
人間とは仲が悪いはずの『闇エルフ』ルシアンと、『土と水の魔術師』セラモダスが力を合わせ、死の巨人を倒す!
寸 評
このようなファンタジーの場合、いかに独自の世界観を確立できるか否かに負う部分が大きい。その点では、残念ながらありきたりの世界観しか感じられなかった。もしかしたら、作者としては新しい世界観を確立したつもりなのかもしれない。しかし、この話を読む限りはまったく説明不足。どうしたら、自分の世界観に読み手を引き入れることができるかを、もっと工夫してほしい。
87番 「子供はつらいよ」 いけだゆきひさ (長野県・?歳)
<あらすじ>
先生から出された作文のテーマは『集団と役割分担』。小学生のケンタは普段、そんなことを考えたこともないので四苦八苦。母親に相談すると「子供は子供であることが仕事。だから、素直に書いたら?」と言われ……。
寸 評
自分たちで一生懸命に考える子供たちの心の動きもよく描けていたし、先生のキャラも魅力的だった。ただ、悪戦苦闘して仕上げたケンタの作文が先生にほめられるのだが、その肝心の作文が紹介されていないのが残念。というよりも、肩すかしを食らったような気分になった。読み手が何を期待して読むのか、そのポイントにはちゃんと応えてほしかった。
88番 「過ぎ去りし友」ほか1本 高橋和也 (広島県・20歳)
→(2次選考へ)
89番 「猫の黒板」 小嶋有介 (長野県・41歳)
<あらすじ>
擬人化された猫が主人公の4コマ。ネームは英語で展開される。
寸 評
なぜ、ネームが英語なのだろうか? 意図を計りかねる。と言うのも、はなはだしく読みづらいのだ。それを補ってあまりある『キャラクターのかわいさ』とか『ネタの面白さ』があれば話は別だが、それも感じられなかった。あまり奇をてらわず、正攻法で勝負してほしかった。
90番 「SPACE RANGER KEN」 Sakuya (大阪府・31歳)
<あらすじ>
引きこもりのいじめられっこケン。毎朝、学校に連れ出そうと誘いにくる秋山先生がうっとうしくて仕方がない。そこで、自作の人体入れ替え装置で復讐することを思い立つのだが……。
寸 評
キャラクターに感情移入しにくい難点はあるものの、復讐しようと思っていた先生を逆に助けてしまっていて、それがいじめから立ち直るきっかけになっているところは、気持ちよく読めた。しかし残念なのが、絵の古くささ。絵のタッチはがらりと変えることが必要。
91番 「お〜い! かんとくさん」 福本真也 (兵庫県・41歳)
<あらすじ>
建築現場の監督を主人公に、監督の悲哀、喜びなどがユーモラスに描かれる。
寸 評
生コンの打設を時間通りに終わらせないと、合コンに行けない! などなど現場を知らないと描けないネタが満載で、面白く読めた。が、いかんせんネームが多すぎて、読みづらい。もう少し読み手のことを考えて、ネームを削る努力をしてほしかった。
92番 「雲がかくれる時オレンジ色に成る」 福嶋あゆみ (大阪府・26歳)
<あらすじ>
不動産会社に勤めるやる気のないサラリーマン健介。ある日、「猫の白ばあさんの葬式に出てほしい」と野良猫に誘われる。それがきっかけになり、健介は子供の頃に飼っていた猫の『ブーツ』のことを思い出すのだった。
寸 評
猫の死という悲しい要素を触媒にして、主人公が『いつの間にか忘れていた子供の頃の気持ち』を思い出す。ここまではよい。しかし、その体験が現在の主人公にまったく反映されないまま、物語が終わってしまう。これではただノスタルジーに浸っているだけ。せっかく、やる気のないサラリーマンを主人公に据えたのだから、その主人公がどう変わったのか、そこまで描いてほしかった。
93番 「Believer And Dreamer」 かじまさき (山口県・19歳)
<あらすじ>
ほかのメンバーのやる気がないことを言い訳にして、バンド活動にイマイチ一生懸命になれない女子高生。そんな時、体育館でひとりバスケに熱中する『汗男』に出会う。
寸 評
言いたいことは分かりやすすぎるぐらい分かりやすい。だが、物語にいい意味での『裏切り』がないため、特に後半は予想通りの展開になってしまうのが残念。心地よい『裏切り』は物語を進めていく上で大きな力。読み手の立場になって、構成を考えてみよう。さらに。画力もまだまだ不足している。描いた量が少ないことがいちばんの原因だと思われる。時間があれば、とにかくペンを持とう!
94番 「クロール」 三原和人 (東京都・26歳)
→(2次選考・最終選考へ)
95番 「finedays, a last day」 玉脇エンデ (東京都・?歳)
<あらすじ>
昨日まで仲のいい友達だと思ってた。でも、難病の発症をきっかけにみんないじめる側に回ってしまった。それでも力強く生きようとするユズルだった。
寸 評
1コマ1コマを見ると、実力のある人なのだろうと思わせる。しかし、テロが頻発している社会、だとか、病院で出会った少年がくれるアイスなどなど説明不足で『何が言いたいの?』と突っ込みたくなる場面が多数ある。終わり方も唐突すぎ。全体像を把握して、どう見せたら効果的なのか、その点を考えてほしい。
96番 「無題」 中村友耶 (福岡県・25歳)
<あらすじ>
目標を見つけられず無気力に過ごす高校生タクロウ。夏休みのある日、傷心旅行にやってきた年上の女性ミホと出会う。そのことで、自分のやりたいこと、進むべき道が見えてきた!?
寸 評
初めて仕上げた作品というが、しっかりと読み応えがある良質なものに仕上がっていた。田舎で悶々とするタクロウの気持ち、失恋したミホの気持ち、いずれにもちゃんと感情移入ができ、ページをめくらせる力があった。惜しむらくは、ほとんど二人の会話だけで物語を進めていてしまったところ。場面転換に乏しく、単調な印象になってしまった。もっとエピソードを物語の中に放り込んで、飽きさせないような工夫をしてほしい。繰り返すが、これが第一作とのこと。画力が向上すれば、これからが楽しみだ。
97番 「菊田家と金魚物語」 GREEN BOY (東京都・21歳)
→(2次選考・最終選考へ)
98番 「誇りの銃弾」ほか3本 フルタしげたけ (和歌山県・43歳)
<あらすじ>
借金取りに追われ、伝説のガンマン『たれ吉』を捜す男。しかし『たれ吉』は施設に入っていた。
寸 評
非常に力のこもったギャグなのだが、残念ながらあまり笑えなかった。現実との接点がなさすぎるのだ。そのため、荒唐無稽な現実離れしたストーリーとしか映らない。出発点、つまり主人公、さらには主な登場人物は、読み手にも身近な存在と感じさせるような設定にしたほうがよいだろう。
99番 「タマキムチ」 金正賢 (京都府・22歳)
→(2次選考・最終選考へ)
100番 「永眠症〜おやぢの見る夢〜」 希代あみ (埼玉県・19歳)
→(2次選考へ)
101番 「山田家の漂流」 矢寺啓太 (東京都・?歳)
<あらすじ>
地球を脱出してどこかの星でラーメン屋を開くんだ。父の決意で山田家の宇宙漂流が始まった。しかし、長女のあずさは引きこもりで、ことあるごとに父と反目し合う。
寸 評
不思議な読み味の独特な作品。選考でも評価する声もあった。しかし。この作者は、直前のMANGA OPENで『天気予報』という作品で入賞を果たしている。もちろん、だからちば賞には入れないということではなく、『天気予報』と比べてどうなのか、との観点から議論された。残念ながら『天気予報』の完成度には及ばないと、1次選考で落選となった。大きなマイナスポイントは画力。コンスタントに『天気予報』くらいの実力をみせてほしい。
102番 「動物の町」 田中六大 (東京都・26歳)
→(2次選考・最終選考へ)
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