第49回ちばてつや賞一般部門選考結果発表!!
第49回 ちばてつや賞一般部門 実録2次選考会!!
以下は編集部内で行われた作品の概要と第2次選考会の模様です。2次選考では、第1次選考を通 過した16本の作品について、事務局メンバーを中心に、編集部員が参加しての議論 が交わされました。
1「鏡 他1作品」O・T(埼玉県・23歳)

【あらすじ】
両親を事故で亡くし祖父に育てられた少年は、その祖父が死ぬ間際に、ある不思議な鏡を譲り受ける……。

事務局長・鯉渕
「ちょっとホラーの雰囲気のあるショート作品だね。ただ短すぎるかな」

編集部員A
「確かに、ストーリーが淡々としすぎていて、物足りなさがありますよね。大げさにドラマティックにする必要はないと思うんですが、もっと深みは持たせられたと思います」

編集部員B
「鏡についても、ただ不思議なアイテムだということ以外はわからなかったですしね。それを持つことが、家にとってどんな意味があるのか、とか広げようはありますよね」」

事務局長・鯉渕
「そうだね。あとはキャラクターの個性をもっと出せるといいだろうね。絵のタッチは、やや地味だったけど見やすかった。ただキャラクターまで淡々としていて、表情がほとんど出てなかった。それらが課題だね

2「3 on 1」K・T(北海道・21歳)

【あらすじ】
3on3の大会に出ることにした、高校バスケット部の3人。さっそく練習をしようとするが、お互いの好きな女子の話をしているうちに……。

編集長
「タイトルからバスケの話なのかな、と思ったら違うんだよね」

事務局長・鯉渕
「そうですね。ちょっと肩透かし感がありました。ストーリーも高校生らしいテーマといえばそうだけど、意外性はない」

編集部員A
「同じテーマにしても、描き方は工夫できたと思いますね。3人がどんな性格でどんな関係なのか、もう少し描いてあるだけでも、大きく変わったと思います」

事務局長・鯉渕
「うん。ストレートに3on3をさせて、その試合の中でそれぞれの好きな女子が誰なのかわかるような演出もできただろうしね」

3「若い力」M・Y(富山県・21歳)

【あらすじ】
大学のバスケット部に入っている主人公は、就職活動が近づくにつれ、将来に対する不安を抱えだし、部活に熱中できなくなってしまう。

事務局長・鯉渕
「この人はこれまでも送ってきてくれている人だよね。ずっとバスケをテーマにしてるけど、だんだんとうまくなってきてるよね」

編集部員C
「そうですね。ただ今回はバスケの試合のシーンは少なくて、爽快感は薄かったです」

編集長
「将来を不安に思う大学生がいて、資格取得に走るっていうのが、少しステレオタイプな気がしたな。ちょっと安直というか」

事務局長・鯉渕
「そうですね。ラストも少し単純でしたね。全体でもう少し大きな起伏というか、起承転結ができてればもっと良かったかな」

編集部員C
「セリフの量やキャラの描き方など、確実に成長しているし、頑張ってほしいですよね」

 

4「ECOMART 24h 他1」はづき満(宮城県・27歳)

【あらすじ】
ある少年の登場がきっかけで、コンビニ店員内で渦巻く人間模様が浮き彫りになる。そして、そのことが主人公・松子に苦い過去を思い出させる!!

編集部員D
「この作品は、作者が面白がって描いているということが伝わってきましたね。強い情熱を感じました」

編集部員E
「そうだね。あと、妄想力がしっかりあると思う。自分で色々想像できていて、誰かの模倣という感じがしなかった。オリジナリティが伝わってきた」

事務局長・鯉渕
「確かに『〜みたい』というような感じはなかったな。個性があった」

編集部員D
「ただ、オチや設定がわかりづらい感じもありました。そこが改善されればもっと良くなったと思います」

5「BLUE SKY BLUE」渡辺英(東京都・38歳)

【あらすじ】
同じ団地に住む小学生のヒロキとエト。学校になじめず、家庭にも居場所のない孤独な二人は、野球を通じて絆を深め合っていく。

編集長
「最初は長いなあと思ったけど、案外読めちゃう」

編集部員F
「絵の構図やコマ運びがうまいですよね。セリフの質も、すごく高いというわけではないけど、人物関係を_みやすく工夫してあると思います」

事務局長・鯉渕
「「キャラクターはもう少し練習したほうがいいかな。前半と後半でタッチが随分変わってしまっていたから」

編集部員E
「そうですね。背景の絵も後半の方が良かったですね」

事務局長・鯉渕
「あと、もう少しエピソードを整理して、ストーリー全体の起伏を大きくすると、よりいい作品になったかな」

6「ティーンエイジキックス」トクヒロサトシ(高知県・25歳)

【あらすじ】
ガクジ率いる問題児4人組は、闇金に追われる友を救うため現金強奪作戦を決行。成功と思いきや仲間の1人が拉致された。次は救出作戦だ!

編集長
「絵のタッチがやや雑な気もしたけれど、無軌道な若者らしさは伝わってきた。青春時代のいい加減さというか」

編集部員G
「ですね。何だかキャラクターの行動が活き活きした。登場人物がトランクに押し込められたシーンとかのセリフも効いていて、リアルな感じがした」

事務局長・鯉渕
「勢いがあったよね。これから洗練されたら、もっと伸びそう。特にキャラクター」

編集長
「確かに、キャラクターがみんな似たように見えてしまっていたな。そこは課題だね」

7「コモンスカイ」手塚幸志(新潟県・21歳)

【あらすじ】
マンガの影響でバドミントンを始めた尾形と、元中国選抜のエリート留学生・利。対照的な二人はペアを組みインターハイ出場を目指す。

編集部員F
「バドミントンに対する愛情は伝わりましたね。マイナーなスポーツをわざと選んだという感じはしませんでした。一生懸命さが伝わってきましたね」

事務局長・鯉渕
「うん、熱さはあるね。ほとばしる感じ。ただ、コマ割とかが読みづらかった。描きながら、冷静に見返すということも必要かな」

編集長
「肝心の試合のアクションがわかりづらかったからなあ」

事務局長・鯉渕
「あと一ヵ所だけでも決め絵があればもっと良かったですね。ストーリーの中でここが最大の見せ場なんだ、ということを伝えるところが弱かった。そういうところもっと工夫してほしいですね」

8「Honey or Money」N・N(福岡県・22歳)

【あらすじ】
物価が高騰し続け、あらゆるものが金で売買されるようになった世界。主人公の少年は、インターネットであるゲームを見つける。

編集長
「これはストーリーをもっと練れたんじゃないかな。『金が全ての世界』という設定に、リアルさというか説得力が欠けてる気がした。絵には才能があるかもしれないとは思ったけど」

編集部員D
何だか、急いで描いたのかな、という気がしましたね」

事務局長・鯉渕
「『大切な人を殺すと100億円もらえる』というゲームも、ルールやシステムがはっきりしなくて、もどかしかったな」

編集長
「そうそう。肝心なとこが抜けていた」

事務局長・鯉渕
「イラストを描きたい人なのかなという気もしますが、絵は実際うまいし、次回はもっとストーリーの質を上げて挑戦してほしいですね」

9「茶の味」ゴシロン(福岡県・27歳)

【あらすじ】
アルバイトをしながら学校に通う中国人留学生・林。ある日、友人に誘われるままにホステスを始め、飲めないお酒を飲まされる。

編集部員H
「情感があり、大人が読める作品だと思います」

編集部員B
「そうですね。絵の効果としてはいいと思うんですが」

編集部員I
「ラストシーンで思わず泣きそうになりましたよ!」

事務局長・鯉渕
「そうだね。ただ、画力がまだまだかな。人物が止まって見えるんだよ。もっと動きのある絵が描けるようになってほしいな」

編集部員E
「不思議なリズム感、風景、人物の捉え方など、作家の持ち味がもっと上手く出てくるといいですよね」

10「グリンのお仕事」福嶋あゆみ(大阪府・25歳)

【あらすじ】
呑気に暮らす双子の兄弟のもとへ天界から天使が降りてきた。天界での出世を果たすため、人間界へやって来た、ヒラ天使・グリンが巻き起こすドタバタコメディ。

編集部員B
「画力はあると思うんですけど、ストーリーが物足りないですね」

編集部員H
「どこかで読んだことがある感じで、オリジナリティがあまりない」

編集部員D
「確かに、こういうコメディの典型的なパターンにはまっている感じですね」

編集部員G
「こういうジャンルの作品がダメということではなく、割とよくあるタイプだからこそ、キャラクターの設定やストーリーを自分なりに一工夫してほしいですね」

11「龍とヒロシとスケッチブック」川村誠 (東京都・32歳)

【あらすじ】
“引かずの龍昇”と恐れられたヤクザ・龍の密かな趣味。それは子供のために、オリジナルの童話を作ることだった!?

編集部員B
「この人は、以前にちば賞を受賞された方ですね」

編集部員K
「絵のタッチも大分変わってきて、画力、構成力ともに上手くなってきていると思います」

事務局長・鯉渕
そうだね。作品として、大きな欠点もないし、ちゃんと仕上がっていると思います。ただ、工夫はさらにできると思う。例えば、キャラクターをもっと深

編集部員A
「確かに、少し無難すぎる気はしましたね」

事務局長・鯉渕
「うん。そういった工夫をするうちに、この人でなければ出せないオリジナリティが生まれてくると思う。頑張ってほしいです」

12「メメント・ブルー」嶋野千恵(東京都・38歳)

【あらすじ】
神父・トルメンタ青木。彼のもう一つの仕事、それは地上でさまよっている「霊」たちを天へと導いてやることだった。

編集部員B
「画力もありますし、ストーリーの作り方も上手いですよね」

編集部員A
「僕もそう思いました。他誌の新人賞で受賞されているみたいですね。ただストーリーのほうは、『エクソシスト』と『シックス・センス』を足した感じで、ややオリジナリティに欠けるかな、という気がしました」

事務局長・鯉渕
「うーん、そうだね。読んでいて、もっとこの作者独自の持ち味を見たくなったな。やっぱりある程度のキャリアを重ねた人には、どうしてもよりレベルの高い作品を要求したくなる。その点で評価は厳しくなるけど、基礎力があることには間違いないし、これからさらに伸びることを期待します」

13「俺の珈琲」K・M(東京都・36歳)

【あらすじ】
元ボクサーの雄二が再就職先に選んだのは、小さなコーヒー店。コーヒーに多大な情熱を注ぐマスターのもと、極上のコーヒーを淹れるため悪戦苦闘の日々が始まった!

編集部員C
「面白いストーリーでしたね。真面目な主人公とマスターの会話が妙に面白かった」

事務局長・鯉渕
「たしかに面白かったけど、絵柄がちょっと古い感じがして、それが惜しかったな」

編集部員G
「作者はこれをギャグ漫画として描いているのかな? もしかするとそのつもりはなくて大真面目で描いているのかな、という気がした。ギャグならその要素をもっと持たせてもいいと思うよ」

編集部員J
「あと、元ボクサーが喫茶店で働く必然性が感じられなかったのが残念でした。ボクシングとコーヒー作りに何か接点を持たせられればもっと良かったと思います」

14「ライトニング」O・T(東京都・31歳)

【あらすじ】
圧倒的なパンチ力で連勝記録を更新するボクシングのチャンピオン藤本。日本新記録がかかった試合に彼が指名した挑戦者は、パワーに劣る一階級下のボクサー・金城だった。

編集部員A
「体重差のあるライバルと戦うボクサーの話ですね」

編集部員B
「丁寧なストーリー作りに好感が持てました」

事務局長・鯉渕
「構成がしっかりしてて、うまくまとまっているよね。ただ、体格が大きくて体重差のあるライバルに勝つための、特別な技なりテクニックなりがあまり出てこなかったのが残念だった」

編集部員F
「あと、主人公がライバルを倒さなければならない必然性をもっと描いてほしかったですね。それがなくて、主人公がやや傲慢な人物に見えてしまうのがもどかしかったです」

15「拝啓 二宮金次郎様」化物企画(東京都・26歳)

【あらすじ】
学園を舞台にした四コマ漫画。セリフは一切なく、登場人物の表情と動きのみで笑いを取りにきた意欲作。学園に関係ないネタもあり。

編集部員J
「これは単純に笑えましたね。ちょっとギャグが難しいかなという気もしましたが」

編集部員D
僕も面白かったです。ただ、ギャグの四コマ漫画に原作があるっていうのが少し驚きましたね」

事務局長・鯉渕
「確かに(笑)。画力はけっこうしっかりしているよね。量も豊富で、スタイルもちょっと他と毛色が違っていて、独特の世界観が出ていると思う。やっぱりこういうオリジナリティのある作品は目立つし、読んでいて面白い」

16「保健室にお願い」平田詠信(東京都・33歳)

【あらすじ】
母校に教師として帰ってきた直子は片思いの相手に告白しなかった高校時代を今でも後悔していた。しかし“保健室”が直子にチャンスを……!

事務局長・鯉渕
これは面白い作品だったな! 一部の主要なキャラクターが、最後に出てこないまま話が終わってしまったりとか、ストーリー上の欠点もあるんだけどね。ただ、とにかくセリフがうまかった。ラストの携帯メールのやりとりには唸らされました」

編集部員B
「後味がすごく爽やかでしたよね」

編集部員A
「ただ、キャラクターの人間関係が複雑すぎる気もしました」

事務局長・鯉渕
「そうだね。もっとプロットを整理するなり、キャラクターの数を減らすなり、わかりやすく伝える工夫をすれば、もっと良かったと思う」