第48回ちばてつや賞一般部門選考結果発表!!
第48回 ちばてつや賞一般部門 実録2次選考会!!
以下は編集部内で行われた作品の概要と第2次選考会の模様です。2次選考では、第1次選考を通 過した27本の作品について、事務局メンバーを中心に、編集部員が参加しての議論 が交わされました。
1「Nephilim(ネフィリム)」秋山智子(東京・36歳)

事務局長・鯉渕
「テロリストたちの殺し合いの物語だね」

編集部員A
「画力があって迫力がありましたね」

編集部員B
「ただストーリーの展開が複雑で、読んでいて混乱する部分がありました」

事務局長・鯉渕
「そうだね。構成をもっとしっかりすると、分かりやすくなっていいかなと思います」

2「七月の雲」舟窪靖(千葉・22歳)

編集部員B
「ストーリーは面白かったですよね」

事務局長・鯉渕
「感情移入ができて良かった」

編集部員C
「弓道やったかなっと思ったら、麻雀やったりと、話が分散してる印象を受けました。でも、現実の描き方というか、魅力の持たせ方とか、会話のテンポだとか、他人が教えてあげられないような、もともとのセンスみたいなものは感じました。何を描きたいか絞り込むともっとよくなるんじゃないかと思います」

3「つながれた飛行機 他2作」横山克弘(千葉・32歳)

編集部員D
「画力的にもストーリー的にも掲載されていてもおかしくないですよね」

編集部員B
「本誌に載ってたら、もしかするとアンケートの人気取るかもしれませんね」

事務局長・鯉渕
「特に桜の話がよかったよね。地下鉄がちょっと地上に出るところで花びらがいっぱい舞うって。絵の見せ方も良かった。ここからさらなるレベルアップを期待します」

4「神様の子」阿部未麻貴(東京・31歳)

事務局長・鯉渕
「妊娠ものでしたね。子どもが出来て、堕ろして、援交して、また出来ちゃってっていう、結構重い話」

編集部員D
「ただ、展開が少し短絡的な気がしました」

編集部員B
「俺は、この暗い話をすごく健康的に見せたところが良かったと思いましたよ」

事務局長・鯉渕
「ただ終わり方が気になりました。援交して出来た子どもが『神様の子』なんだっていう説得力がもう少し欲しかった」

5「ELEVEN」坂東卓哉(徳島・18歳)

事務局長・鯉渕
「虐待されていた子どもが生き返るんだけど、また11日で死んじゃう。親はもっと優しくしとけば良かったのに、って後悔するってやつですね」

編集部員B
「71ページありましたね」

事務局長・鯉渕
「そうだね、長かったね。泣けるストーリーなんだけど、もっと短く構成したほうがメリハリがついたんじゃないかと思います」

6「17歳の世界」天童漫(熊本・19歳)

事務局長・鯉渕
「いやあ何だかよくわかんないんだけど、パワーが伝わってきたよね」

編集部員F
「ルサンチマンというか、何か鬱積したものがあふれでている感じですよね」

編集部員D
「くせのある絵なんだけど、線がかなりきれいで、見どころがありますよね」」

編集部員B
「几帳面さに圧倒されました」

事務局長・鯉渕
「衝撃度がとにかくあって良かったんだけど、それがいろんな人にも受け入れられるように絵を工夫していくといいと思いますね」

7「ススメ帝都バスガール」蓑羽和広(東京・39歳)

事務局長・鯉渕
「独特の世界観があって、それは良かったんですが、それをもっと広げてほしかったですね」

編集部員A
「主人公の女のコもさらに魅力的に描いてあげれば、ストーリーが映えると思いました」

8「他人事の距離」水野俊司(埼玉・27歳)

編集部員H
「最後まで読ませる展開は良かったですよね」

事務局長・鯉渕
「そうだね。ストーリーと構成がしっかりしてた」

編集部員B
「特に最後のどんでん返しとか、インパクトがありました。それにセリフのバランスも良かったですね。ただ少し長かったかな」

事務局長・鯉渕
「そうだね、もう少し短くまとめると、メリハリが強くなってさらに良かったんじゃないかなと思います。欲を言えば、人物ももっと表情があってほしかったですね」

9「追う者」秋本紳策(東京・38歳)

事務局長・鯉渕
「吃音症(きつおんしょう)の剣士の話だね」

編集部員D
「薄墨が使ってありましたよね。これは印刷されたときに、ちゃんと絵が出るかどうかわからないので不安ですよね」

編集部員B
「そうですね。絵の効果としてはいいと思うんですが」

事務局長・鯉渕
「印刷のことを考えると、なるべく濃いめに描いてあったほうが無難かもしれませんね。もしくは薄く描くところは、吟味して本当に必要なところだけにするとか、工夫が必要ですね」

10「予備校のススメ」大石フジコ(大阪・29歳)

事編集部員B
「ちまちました印象も受けるんだけど、そういった細かいところにセンスのよさを感じました」

事務局長・鯉渕
「そうそう。つむじが星型に描かれてたりとかも、ちょっと面白い。ただそれが人によっては古臭く感じるかもしれない。読者から見てそう思われないかどうか不安ですね」

編集部員F
「登場人物がみんな因縁だらけでひとクセあるんだけど、一貫して丁寧に描いてあ7?るから、リアルに見えてきました」

編集部員D
「シリアスなテーマなんだけど、絵が軽いから読みやすいしね」

事務局長・鯉渕
「そうだね。実はいじめられっ子だったりとか、そういうヘビーな感じが、うまく嫌味な感じに思わせないように描かれていて良かったですね」

編集部員I
「欲を言えば、主人公が獣医になるっていう本筋のストーリーを、もっと強く打ち出すと良かったんじゃないかなと思います」

11「外人さんいらっしゃい」長田俊介(東京・30歳)

編集部員L
「空港で働くマイノリティの外国人とのやりとりを描いてるんだけど、差別的な揶揄(やゆ)を一切感じなかった。これはすごく気持ち良くて面白かったです」

ちば氏
「そうだね。セリフのひとつひとつも含蓄があるものばかりで、味わいがあった。登場人物の爽やかさ、素直さも心地よかったね。ただ、絵のタッチが淡々としていて、それは個性だからいいと思うんだけど、軽くなりすぎるといけない。師匠をもっとクセのある感じの人物に描いたり、チェロの「あばれ馬」な感じをもっと出したり出来たらもっと良かったかな」

編集部員D
「作者の日常なんでしょうね、これ。四コマじゃなくて、ストーリーで読みたい気がしました」

事務局長・鯉渕
「そうだね、ちょっと量的に物足りない気がしましたね。もっと登場人物の世界をどんどん打ち出して欲しかったです」

編集部員K
「こういうのはまさに普段の観察力が決め手。登場人物にしても、ネタにしてもさらにバラエティを増やしていけるといいですよね」

12「叫拳」細谷雪太郎(千葉・27歳)

事務局長・鯉渕
「やくざの息子に生まれた男の話ですね」

編集部員B
「最後に指詰めるっていうのがインパクトありました」

編集部員E
「ページをめくると海がドドーンとあったりとかもインパクト大でしたね」

編集部員D
「ただ、1ページの中のコマの割り方など、ちょっと描き方が大味な気もしました。あと指詰めて背中に立派な入れ墨入れたやつがプロボクサーになれるのかっていうのも疑問でした」

事務局長・鯉渕
「そうだね。そこはちょっと説得力に欠けるところがありましたね。100ページの長さがあるんだけど、全体的にあらすじっぽくなってしまっていたのが残念。それぞれの事件の中で主人公をもっと動かして、感情を細やかに描く工夫をしてリアリティを持たせてあげると、読者も感情移入しやすくなって良かったんじゃないかと思います」

13「猫と杓子と狸と狐」赤羽昌和(大阪・26歳)

編集部員E
「探偵モノですね」

編集部員A
「この方は以前から賞に応募してもらっていて、この作品もネームの時点で僕が見たんですけど、そのときはすごく複雑で錯綜したストーリー展開になってたんですよね。それをわかりやすく直してもらって、シンプルな本筋だけを描いてもらいました。どうでしたか?」

編集部員G
「時代劇の約束を破っていそうで、案外保守的なのかなと思いました。アフロの侍とか奇異な感じで面白そうなんだけど、やってることはそこまでハジけてない。そこが惜しかったかなと思いますね」

編集部員J
「私はキャラクター作りがうまいなあって感じました」

編集部員B
「あと、ちゃんばらシーンの刀の軌跡とかもかっこいいですよね」

事務局長・鯉渕
「ただ、全体的にコマ割りが細かい気がしました。ページごとに見せる絵を確実に入れていくようにすると、メリハリが出てさらによくなるんじゃないかと思います」

14「炎のタックルマン」伊藤直祐(山梨・34歳)

編集部員A
「最後まで展開が気になって読めました」

事務局長・鯉渕
「そうだね、ストーリーの軸はしっかりしてたよね。ただ山場の盛り上がりがもっとほしかった」

編集部員B
「そうですね。女のコと出会ってから、もっと積極的に動く主人公を見たかったですね」

事務局長・鯉渕
「うん。そうすればもっとキャラクターが活躍して、読者が感情移入しやすくなると思います」

15「プロレスバカ一直線〜熱血栗山君〜」すどうたかふみ(東京・23歳)

編集部員B
「少年誌の漫画みたいな爽やかさがありましたね」

事務局長・鯉渕
「そうだね。ただちょっとストーリー展開が単純だった気がします」

編集部員D
「そうですね、まだ新しさやオリジナリティが出てない感じですね」

編集部員A
「人物の描き方とか、設定をもっと凝るといいかもしれませんね」

16「落下中」河合伸哉(千葉・34歳)

事務局長・鯉渕
「まったく欠点のない男が実は勃起不全でっていう話ですね。なんちゅう突飛な設定だと思いながら、いつのまにか先の展開が気になって読めちゃいました」

編集部員D
「空中でセックスっていう発想、すごいですよね。それにしても可能なのかな?」

一同
「笑い」

編集部員F
「設定の派手さのわりに、キャラが弱かったのが残念でした」

編集部員H
「初めの調査依頼のシーンをもっと丁寧に描くと、登場人物の背景とかがより見えてきたのでは」

事務局長・鯉渕
「そうだね。ふりとしては良かったと思うけど、そのあとの展開の中で時間が錯綜して、結果的に分かりにくくなってしまっていた。構成をちょっと工夫してシンプルにすると、キャラも引き立ったんじゃないかと思います」

17「BABY・BABY」石橋卓也(東京・29歳)

事務局長・鯉渕
「『出来ちゃった』妊娠をテーマにしたものですね」

編集部員D
「結論がちょっと分かりにくかったですよね」

事務局長・鯉渕
「そうだね。産むことにしたのかどうか、はっきりしなかった」

編集部員B
「わざと結論を出さなかったのかもしれないけど、すごくモヤモヤが残りますね」

事務局長・鯉渕
「うん。読者に難しいテーマについてを考えさせようとしながらも、突き放しすぎないという工夫が、こういう作品の場合は必要ですね」

18「サムライの☆ネタ蝶!」謎のオルテンバーグ兄妹(広島・34歳)

編集部員H
「僕は結構面白いな、と思いました」

編集部員B
「ただ、ちょっと考えないとオチがわからないものが多かった気がします」

編集部員M
「そうですね。それとちょっと意外性に欠けていて物足りなかった」

事務局長・鯉渕
「絵も、ネタの方向性も、ある程度オリジナルなスタイルが確立されていると思います。ただ、もう一押し必要という感じ。ここからさらなるレベルアップを期待します」

19「TWISTS」戸浦丸帆(東京・30歳)

事務局長・鯉渕
「銀行強盗して、人質の中に仲間がいるはずなんだけど、それが誰だかわからなくて焦ってしまう、という話だね。これは構成がしっかりしてました」

編集部員B
「そうですね。この方の前回の応募作に比べると、ずっとまとまってきたと思います」

編集部員M
「ただ、もっと緊迫感がほしかったですね」

編集部員L
「そうだね。勘のいい人は、人質が出てきた瞬間に、仲間が誰なのかすぐわかってしまうかも。人質のキャラをもっと丁寧にリアルに描いてあげると、主人公の焦り具合もより引き立つと思います。」

編集部員H
「ちなみに僕は全然気付きませんでしたけど……」

一同
「笑い」

20「街角カデンツァ」小達(愛知・31歳)

編集部員J
「作品から独特の雰囲気がすごく伝わってきて良かったです」

編集部員H
「絵に味がありますよね」

編集部員D
「うん。作品のページ数は54枚あって長いんだけど、絵に好感が持ててスルスルって読めました」

事務局長・鯉渕
「ストーリーがシンプルに構成されていて、登場人物に感情移入しやすかったという点も良かったと思います」

21「伴大作CONFIDENTIAL(法律事務所)」山中義彦(埼玉・35歳)

編集部員K
「少々強引な展開もありましたが、読んでるうちにこの弁護士がどう活躍するのか引き込まれてしまっていました」

事務局長・鯉渕
「そうだね。キャラは強く出てた。気になったところを言うと、冒頭に出てくる行方不明になった人のことが後で触れられないっていうのが、少しもどかしかったですね」

編集部員B
「あと、弁護士の設定も少しわかりづらかったかな。悪人のようでいて善人のようでいてって。ストーリーも結構複雑だったので、全体を通してシンプルなところとそうでないところのメリハリをつけるとさらに良かったと思います」

22「廃底電車 他2作」須齊英和(東京・33歳)

編集部員H
「これは連続短編が3つあって、全体に通しタイトルがついてるけど、それぞれの作品のつながりはあんまりなかったように感じました。皆さんどうでしたか?」

編集部員D
「うーん、この作品の世界が近未来なのか、アナザーワールドなのか、はっきりしなくてちょっと入り込みにくかったかな。不思議な世界を描きたいのか、それとも現実的な世界を描きたいのか、そこがはっきりすれば全体の統一感がもっと出たんじゃないですかね」

編集部員H
「そうですね。それぞれの絵自体はけっこう味がありますしね」

編集部員E
「僕も1本目の電車の絵なんかすごく好きでしたね」

編集部員M
「ただ描かれている世界と、ストーリーがあまり関係ないのも残念でした」

事務局長・鯉渕
「この方の前回の応募作ってすごい長編だったじゃない。で、今回はすごく短い。だから次は、実際の連載のように20〜40ページくらいの長さで、設定なり世界観と物語をまとめていく練習をすると、いいんじゃないかなと思います」

23「すなおになれば」門井元(東京・34歳)

編集部員K
「この作品は、登場人物に親近感があったっていうのがとても良かったですよね」

事務局長・鯉渕
「特に主人公の女の子の描き方が良かった。ちょっといい子すぎるっていう感じもするんだけど、心が洗われたような気がしましたね」

編集部員D
「人間のちょっと嫌な部分も丁寧に描いた点が効果的でしたね」

事務局長・鯉渕
「ストーリーもしっかり筋が通っていたけれど、とにかくキャラがよく描けてましたよね。だから感情移入しやすい。友達を見下してる自分がいるとか、悪ぶってタバコすったりっていうのが、すごくわかる、という感じがしました。ちなみに編集長は『少し子どもっぽいけど、主人公の素直さは何か自分の忘れていた自分を思い出させる』と言ってました」

一同
「笑い」

24「レオパルト」江畑ゆきのり(千葉・29歳)

事務局長・鯉渕
「生まれながらにして善い人間か悪い人間か判別できる『クレオ値』が発見されたという設定の物語ですね」

編集部員D
「設定は面白いんだけど、展開がちょっと弱いという気がしました」

事務局長・鯉渕
「確かに、人の善悪と『クレオ値』は関係ないっていう終わり方だと、読者としては拍子抜けしてしまうところがあるかもしれないですね。構成と展開をもう一工夫してほしかったです」

25「マジシャンズ」水押汽船(大阪)

事務局長・鯉渕
「ゆるい雰囲気なんだけど、そこは結構良かったですよね」

編集部員A
「ただ、ストーリーと構成が弱くて、『どういうマンガ?』って聞かれたときに説明しにくいという気がしました。それはやっぱり『売り』なり『押し』なりが弱いってことになっちゃう」

事務局長・鯉渕
「そうだね。登場人物の設定を、より綿密にして固めてからストーリーを展開していくと、話の軸がしっかりしていくかなと思います」

26「雨」青蝶(AONABI)(京都・34歳)

編集部員E
「オールカラーの絵がとにかくうまくて、引き込まれました」

編集部員B
「色使いがすごいですよね。回想シーンと現在で色調を使い分けたりとか」

事務局長・鯉渕
「そうだね、絵のクオリティはすごく高い。惜しかったのは、核となるストーリーが弱かったっていうことですね。そこが良くなると、作品としてかなりレベルアップして読みごたえが増すと思います」

編集部員D
「それと、カラーじゃなくて一色の線画の作品にも挑んでみてほしいですね。やっぱり連載を目指すとなると、オールカラーじゃ無理ですから。それでカラーと同じくらいのクオリティを出せれば、かなりの強みになると思いますし」

編集部員E
「ですね。一色でこの人のホラー漫画とかぜひ読んでみたいです」

27「いとしこいし」池上コウ(東京・22歳)

事務局長・鯉渕
「主人公の女の子が年上のおにいちゃんを大好きでっていう話なんですけど、肝心な好きな理由があまり描かれていなかったのが残念ですね」

編集部員E
「確かに、そのせいで感情移入がしづらくなってしまいましたよね」

事務局長・鯉渕
「このおにいちゃんの設定を突き詰めて、魅力的な部分をもっとストーリーに積極的に絡めていくと、物語の説得力も増して読者に主人公の気持ちが伝わりやすくなったんじゃないかと思います」

事務局長・鯉渕
「さて、以上が一次選考通過作品27本です。ではこれから二次通過作品を決めるための投票に入ります……」