概 要
「引きこもりがちの日本人の少年が、出稼ぎに来ているタイのムエタイ選手と出会い、キックボクシングの練習を通して自分の弱さを克服していく」
編集部員B
「この人は以前にちば賞で大賞をとってる人ですよね」
編集部員K
「年とったロートル空手家が大会に出て若造と戦うっていう話ね。2、3年前くらいじゃない?」
編集部員F
「その頃の常連だよ」
事務局長島田
「今回の中では間違いなく一番完成度は高いですよ。すでに何度も賞をとってるってことは、ここが限界っていう感じの人なのかな?」
編集部員B
「いや、絵が昔よりかなりうまくなりましたよね」
事務局員加藤
「うん、一瞬わかんなかったぐらい」
編集部員B
「一緒の人だとはすぐに思わないですよね。主人公の顔もすごくうまくなってますよ」
編集部員D
「前の空手の話のときは絵が未熟だったんで、この人うまくなったら格闘シーンとかすごくなるのかなという予感があったんだけど、今回の作品を見るとある意味完成されちゃってて、やや限界を感じてしまうんですが」
事務局長島田
「いいと思ったけどなあ。サラッと描いてるから自然に読んじゃいますけど、この主人公二人の関係っていうのは、設定として意外によく練れてる」
編集部員B
「ぼくもこの作品自体はけっこう楽しめたんですけど、これと4番の『ニュースD』とそんなに差はなくて……」
編集部員G
「いや、それは比べると大きな差があると思う。絵のレベルとか、あえて言うけど“ベタ”な展開とか、そういうのはすごく似てる。ただこっちは甘えた人間関係からちゃんと一本立ちしていく人間をきっちりと描いてる。人の描き方には格段の差がある」
事務局長島田
「ただ絵面がすごく暗い感じがする。多分それは背景があまりうまくないからだと思う。人物はちょっと地味っぽいけどすごく描けてるのに、他の部分がこなれてないことですごく損をしていて、華のないものに見えてしまっている……。今の漫画は背景の精度、美しさも途轍もなく上がって来ているので、背景がプアだとやはり損はしますよね。
副事務局長三村
「ぼくもこの作品は評価します。漫画っぽい設定ではあるんですけど、すごくリアリティがある。キャラクターの言ってることにすごく力がある」
編集部員D
「この人、多分こういう格闘技の世界を描いていきたいんだと思うんです。でもドキュメンタリーとしては、地道に日々努力していく人々っていうのはいいですけど、漫画としてはこの描き方は地味だなって思う。格闘漫画って、どこかにケレンとか怪物性みたいなものがないと漫画としては面白くないじゃないですか」
事務局長島田
「たしかに仮にずっと描いていったとしても地味なテイストは変わらないかもしれないけど、地味だからつまらないのかっていうとそうとも言えないと思う。地味なんだけど読者が主人公をすごく好きになるってこともあるんじゃないのかな」