はじめに
「なんでもあり」にして2回目のオープン、今回は前回をさらに上回る266本の応募がありました。「応募の動機」として、「ホームページで全作のレビュー(講評)を載せるその心意気にうたれた」という趣旨のものが特に目につきました。我々の熱意がこういう形で返ってくることは、事務局員一同、喜びにたえません。前回は、一次選考落選の全作品に講評をつけたのは一人の人間でしたが、今回は、副事務局長の三村が代表として全作に講評をつけたあと、他の4人の選考員も気になった作品には自由に評を加えるスタイルをとりました。したがって作品によっては2人〜5人の講評がついています。ときにはやや手厳しい評に見えるかもしれませんが、「あえて一言いいたい!」というのはその作品に対する「愛情」のうち。何かひかれたからこそいっているのです。どうぞ次回作への糧にしてください。
さて、応募作全体について印象ですが、漫画に関しては今回も前回と同じくらいのレベルには達しており、先への収穫は十分得られたと思っています。特にかわぐち賞を授賞した『座二郎デタラメコミック!』のように画材や製本まで含めてひとつの作品としての完成度を追求するものが増えたのが今回の収穫といえるでしょうか。こうした作品の魅力を普通の印刷媒体で再現することは困難ですが、作品のトータルなプロデュースセンスは、これからの漫画制作者にとって不可欠な要素と思われます。近い将来こうした才能が従来の漫画の概念をくつがえす傑作を生み出すことを確信しております。
また今回は惜しくも授賞にはいたりませんでしたが、CGに代表される漫画以外の作品のレベルが大幅にアップしたことも嬉しいかぎりです。飛躍的にアップしました。次回こそは授賞作が生まれることを期待したいところです。
原作、原案は今回も大量の応募がありました。しかし、残念ながらこのジャンルは前回からレベルアップした感は受けませんでした。せっかく面白い経歴、専門知識をもっていながらそれをいかしきれなかったもの(38番 原作「無題」など)、可能性のある設定を思いつきながら、作者自身がその設定の妙味に気づけなかったもの(120番 原作「幻草奇譚」など)も散見されました。惜しいと思います。原作はある意味、漫画以上に自分の才能に対するプロデュースセンスが問われるジャンル。まずは冷静な自己分析を徹底的におこなってから筆をとることをおすすめします。
もうひとつ応募原作全体を見渡して気になったことは「演出の不在」です。演出とは、「誰がどうした」という出来事を、いかに読み手に効果的に伝えるかということ。つまり、登場人物の行為に伴う具体的なセリフや仕草、出来事のことです。これをどう印象的に描くかで人物の魅力や存在感が生まれてくるのではないでしょうか? 冒頭のあらすじは面白そうなのに、読んでみたらちっとも面白くなかったというものがあまりにも多かった。原作はあらすじではないし、あらすじが面白いだけで原作として通用させることはまず不可能なのです。
大量の原作の中から今回は「モモ肉」1本だけが授賞となりました。原作というよりは小説の形態で(作者は漫画化を希望しての応募)、漫画化はきわめてしづらい内容なのですが、独特の世界観と描写力が編集部内選考会での評価を集め、かわぐち、さだやす両先生の評をぜひ聞きたいということになり、最終選考への進出を果たしました。最終選考過程も詳細が掲載されているので、両先生の評はそこでぜひご覧ください。「モモ肉」の全文も掲載されています。引き比べてご覧になれば、ひとつの「漫画原作論」として大変参考になると思います。
MANGA OPEN事務局長 島田英二郎